商品説明
B6版、214ページ
28歳の高校教員・遠藤真帆。管理職からのパワハラ、教員間のいじめといった人間関係のあつれきにくじけそうになるが、同じ職場で出会った同僚・藤森孝介とともに一つ一つの問題を乗り越え、真帆は教員としても女性としても大きく成長していく。今まで知らなかった世界を教えてくれる孝介にひかれていく真帆…やがて二人は恋におち、婚約することになる。瀬戸内の町・岩国と横浜を舞台に繰り広げられる二人の恋模様。そんな二人を、夜空の星のように遠くからあたたかく見守ってくれる人たちがいた――。
~内容から~
強い雨と風が窓をたたいている。
ベッドから身を起こし、遠藤真帆は窓の外を見た。初めて迎える横浜の朝だった。横浜スタジアムのすぐそばにあるこのホテルの窓からは横浜の町がよく見えるはずだったが、窓についたたくさんの雨粒が視界をさえぎっていた。今日は十二時から婚約者の藤森孝介の家に行き、彼の両親と会って昼ご飯を一緒にいただくことになっている。そんな大切な日に台風なんて…と真帆は曇った気持ちになって雨粒を見つめていた。
真帆は「晴れ女」だった。入学、卒業、受験…今まで二十八年と半年生きてきて、節目となる大切な日はいつも晴れだった。それなのに今日に限って…そう思うと真帆の気持ちは一段と沈んでしまい、横浜の町から拒絶されているような気にさえなっていた。
昨日の金曜日の夜、横浜に着いてこのホテルにチェックインした時、雨はまだ小降りだった。それが夜になって台風が進行方向を変えて関東地方に接近し、雨も風も一段と強まっていたのだった。台風はこの先どうなるのだろう…
(中略)
相変わらず雨と風は強く、真帆は一人で窓辺に立ち、窓についた雨粒越しに町の様子を見ていた。外を歩く人はほとんどなく、街路樹の枝がしなるほどの風が吹いている。そんな荒れている町の様子は、真帆がここにたどりつくまでの日々を表しているかのようにも思え、真帆は今までのことを思い返していた。
著者名
西方常道
販売者
びんうにーず
関連URL
https://ameblo.jp/tekochan2010/
書籍情報
製本サイズ:B6
ページ数:214
表紙加工:カラー
本文カラー:モノクロ
綴じ方:無線綴じ